大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和27年(う)801号 判決

本件起訴状に犯罪の場所として「前記工場」(すなわち合資会社松屋紡績工場)とのみ記載してあつて右工場の行政区画上の所在場所が記載されていないことは所論のとおりである。

しかし、そこにはとにもかくにも犯罪の場所の記載がなされているのであるし、しかもそれは「合資会社松屋紡績工場」という特定の場所として表示されているのであるから、訴因の特定の一方法たる場所の表示としてはあえて不備であるというほどのものではない。そして、同起訴状によると、被告人は同合資会社の代表社員だということになつているので、右工場がどこに所在するかは当然被告人には判つていることであり、従つてそこにその所在地の表示を欠いていたために被告人側の防禦に支障を来すことがあつたとも考えられない。

されば、本件起訴状は所論のように違法なものだとはいえないから、原裁判所がこれに基いて審理判決したのは正当であつて、論旨は理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!